三方五湖のまわりの田んぼ 水田魚道

更新日:2022年03月31日

かや田(若狭町中山)に設置された水田魚道の写真

かや田(若狭町中山)に設置された水田魚道

複数人で田んぼに水田魚道を設置している写真

水田魚道設置の様子

水田魚道を見ながら子供たちに説明をしている写真

子どもたちに水田魚道を紹介

田んぼで生まれ育つ魚たち

コイやフナ、ドジョウなどの魚たちは、流れのない水辺に卵を産む習性があります。田んぼの水は、流れがおだやかなので、生まれたばかりの小さな魚にとって住みやすい場所といえます。春、代かきを終えた田んぼは草が生えていないので日当たりがよく、水深も浅いので水路や川よりも水温が高くなります。すると、ミジンコなどがたくさん発生するので、田んぼで生まれた魚たちはたくさんのえさを食べることができます。また稲が育ってくると、今度はその株間が鳥に追われた魚たちの隠れ場所になります。その後、中干しなどで田んぼに水はなくなってしまいますが、その頃には田んぼで生まれた魚たちも成長し、田んぼを出て水路や川、池、湖などへと移動します。魚たちはそこで秋から冬の間を過ごし、翌年の春、田んぼに水が張られると、川や池から水路を伝ってふたたび田んぼへとやってきて、卵を産みます。このように、魚たちは田んぼや水路を自由に行き来しながら、長い間、人と一緒に暮らしてきました。
近年になり、田んぼでお米を作りやすくすることを重視して整備が進められてきた結果、田んぼでの農作業は楽になり、たくさんお米がとれるようになりました。しかし、これまでのように、魚たちが田んぼを産卵場所として利用することは難しくなってしまいました。とくに、排水路から田んぼまでの高低差が大きくなったため、魚たちが田んぼへ入ることが難しくなっています。

魚のための道をつくろう

そこで、お米は作りやすいままで、魚たちが田んぼを水路の間を自由に行き来できるように、魚の通り道となる「水田魚道」を設置する取り組みが始まっています。かや田でも、2005年と2006年に水田魚道が設置されました。

水田魚道を設置してみると

かや田に設置された水田魚道では、その後の調査によってたくさんの魚たち(7種365匹)が水路から田んぼへとのぼってきたことがわかりました。また夏には、田んぼで多くの魚たち(未成魚)をみることができ、魚たちが田んぼで生まれ育っていることが確認されています。

地域の豊かな自然を守るために

今、メダカやトンボなど、田んぼやその近くに住む多くの生き物たちに絶滅の危機が迫っています。このような生き物たちは、かつては川や湖の岸辺などにも住んでいましたが、そういった場所が自然のままで残されていることはごくわずかです。今となっては、田んぼがそのような生き物たちの重要な住みかとなっているのです。よって、田んぼやそのまわりに生き物が住めるようにすることは、地域の豊かな自然を守っていくためにとても大切です。
三方五湖のある若狭町は、湖から川、水路そして田んぼのネットワークをもう一度つなげることで、生き物の豊かな水辺を再生しやすい環境にあります。ぜひみなさんで取り組んでみませんか?

この記事に関するお問い合わせ先

環境安全課
電話番号 0770-45-9126

メールフォームからのお問い合わせ